双葉町役場17日先行移転 「避難所閉鎖」募る不安

全国で唯一残る避難所が揺れている。東京電力福島第一原発事故で埼玉県加須市の旧騎西高校に役場機能を置く福島県双葉町は、十七日に福島県いわき市内に機能を移す。町は役場移転に伴い、同校に設けた避難所をいずれ閉鎖する方針だ。支え合って暮らしてきた高齢者たちは不安そうだ。「仮設住宅では孤立してしまう」 (石井宏昌、写真も)
 「町民の(新たな居住先の)ニーズは千差万別。役場の移転後も足を運び、一人一人の事情に合わせて対応したい」
 十一日夜、旧騎西高校で開かれた町と町民との「意見交換会」。避難所閉鎖後の受け入れ先などを説明した伊沢史朗町長は終了後、町民の転居先についての考えを示した。
 町長は三月の選挙で初当選後、町議会で避難所閉鎖に言及。十分なプライバシーなどが確保できない学校は「長期間生活する場所ではない」との考えで、福島県内の仮設住宅や借り上げ住宅への入居を呼び掛けている。
 双葉町民は原発事故直後の二〇一一年三月末、役場機能ごと旧騎西高校に避難した。同校で暮らす町民は当初は千四百人以上いたが、今は百十四人(今月十日現在)に。平均年齢は六十八歳を超え、四分の一の人は支援や介護が必要という。
 「たとえ生活は不便でも、助け合って暮らしている。仮設や借り上げ住宅に移れば、高齢者は孤立してしまうのでは」。同校で暮らす渡部三重子さん(65)は、避難所に残る町民たちの不安を代弁するように話す。渡部さんは母(93)と夫(70)、義母(92)の家族四人で同校に避難し、病気の母の介護を続ける。
 こんな出来事があった。糖尿病の女性がトイレで突然倒れ、町民が見つけて大事に至らなかった。「一人暮らしだったらどうなっていたか」と渡部さん。
 町は先月中旬、避難所閉鎖に向けた町民の意識調査を行った。百十三人が回答し、閉鎖後の居住先について「予定がない」が76・1%を占めた。希望する居住地(重複回答あり)は「埼玉県」が最多の49・5%で、「福島県」の35・7%を大きく上回った。
 「埼玉での暮らしに慣れた」「福島より放射線が少ない地域にいたい」。長引く避難生活で、こうした声も出ているが、福島県外の借り上げ住宅の新規受け付けは既に打ち切り。先月、埼玉県内で災害復興住宅の建設を求める要望書が町民約三百人の署名とともに町に提出されたが、町長は「災害復興住宅の建設は県の判断。福島県知事に要望があることは伝えた」とした。
 役場がいわき市に移った後も当面、加須市内に役場支所が置かれ職員十人と臨時職員が常駐する予定。ただ避難所はいつ閉鎖されるか分からない。渡部さんは「私たちが希望する場所で、寄り添いながら暮らす方策があれば」と願っている。
(東京新聞)

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