東日本大震災:石綿基準超え17カ所…被災4県、解体現場

毎日新聞 2013年01月10日 23時42分(最終更新 01月11日 04時37分)


 東日本大震災で被害を受けた建物の解体工事で、世界保健機関(WHO)の安全基準(大気1リットル当たり10本以下)を超すアスベスト(石綿)が検出された現場が、昨年末までに17カ所確認されていたことが環境省と厚生労働省への取材で分かった。環境省が05年度から毎年約50カ所を抽出して行っている大気濃度調査では、震災前の08~10年度に基準を超えたのは山梨、愛知両県など計4カ所だけだった。専門家は「氷山の一角に過ぎず、見過ごされた被災解体現場はたくさんあるはずだ。WHO基準以下なら健康に影響がないと言い切る根拠もなく、対策が急務だ」と指摘している。

 両省は震災発生を受け、11年6月~12年12月に解体やがれき処理の現場などでモニタリング調査を実施。宮城、福島、茨城、栃木の4県の解体現場で、WHO基準を超す1リットル当たり10.6~783.5本の石綿繊維が確認された。最も多かったのは仙台市青葉区のホテル解体現場で、敷地境界でも360本の飛散が確認され、境界での安全基準(1リットル当たり10本以下)を定めた大気汚染防止法の規定も超えた。

 被災地で基準超えの場所が相次いでいる背景には解体現場が膨大な数に上ることに加え、石綿除去の技術を持つ業者が少ないことや行政側の対応が追いつかないことがある。

 環境省は「いずれも健康に影響のある数値ではない」と説明するが、両省とも自治体や労働基準監督署を通じて周辺住民も含めて注意喚起し、再度周辺の大気を調査して基準以下に下がったことを確認。厚労省は昨年5月、労働安全衛生法に基づく「労働者のばく露防止に関する技術上の指針」を策定し、解体前調査や適正な除去方法の順守を事業者に求めている。

 石綿の飛散防止を巡っては、環境省の中央環境審議会石綿飛散防止専門委員会が先月、同防止法改正に向けた中間報告案をまとめ、解体前調査や大気濃度測定の義務化、都道府県の立ち入り権限の強化などを提言した。しかし吹き付けなどに比べて飛散が低いとされてきた石綿スレートなどの建材については、「法に基づく解体時の届け出義務がないものが極めて多数あり、実態が把握できていない。不適切な作業で飛散するとの指摘がある」とし、基準の再検討を求めている。【金森崇之】

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